VR体験のススメ
お初にお目にかかります。事業開発部 事業開発グループ所属のt.tanakaです。
普段は主に、Treasure Data や Tableau を利用してお客様のデータの可視化やデータ活用を支援する業務を行っています。
今回はこの場をお借りして、今にわかに盛り上がっている最新テクノロジー「VR(Virtual Reality)」について少しご紹介させていただきたいと思います。なお、こちらの内容は業務としてではなく個人的な興味から調べてまとめたものになります。
目次
VRの歩み
2016年はVR元年であったと言われています。
Oculus Rift・HTC Vive・Sony PlayStation VR、現在でも主要なプレイヤーである3社のVRHDM(Virtual Reality Head Mount Display)が揃って発売されたのが2016年だったからです。
そして2020年現在、今年は「真のVR元年」(※)であると言われています。
2016年当時より技術が成熟し、VRHMDが徐々に人口に膾炙し始めてきました。
そこへきて、高いスペックと驚異的なコストパフォーマンスを持つ「Oculus Quest 2」の登場。
今年が「真のVR元年」なのかどうかは分かりませんが、VR技術はこれからの社会で、娯楽のみならずバーチャル会議や展示会などのコミュニケーションの分野において、また我々の想像だにしない分野において、間違いなく存在感を増していくでしょう。
それを踏まえて、これまでの技術的革新の結晶としての「Oculus Quest 2」、今これを買っておいて損はない。
そう自信を持って言える程度には、新しいフェーズに入った実感があります。
惜しむらくは、ログインアカウントがFacebookと統合され、プライバシーポリシーが怪しくなったこと……(詳細はこちらの記事をご覧ください: Quest2登場:Facebookへの酷評と「Oculusブランド」のゆくえ(1/3))。
なので、Facebookに疑念を抱く一部のギーク諸氏におかれましては、別の選択肢を考えてみてもいいかもしれません。
(※)ちなみに、2019年も「真のVR元年」だと言われたり、言われなかったりしていました。新しい技術だからスピードが速い。仕方ないね。
VRゴーグルの分類
VRゴーグルには大別して2つの種類があります。
PCと接続して、PCの処理能力を利用してVRゴーグルには映像だけを投射する「PCVR」型と、VRゴーグル単体で演算~映像処理までを行う「スタンドアロン」型です(その他PlayStation 4/5で利用できる「PSVR」、スマホを装着して利用する「スマートフォン用VRゴーグル」等がありますが、今回は割愛させていただきます)。
PCVR
- メリット
- PCの処理能力を利用できるので、PC側のスペックさえ上げればパフォーマンスの高いゲームもプレイできます。
また、VRゴーグル側のスペックに依存する部分が少ないため、将来的な陳腐化の可能性は少ないです。
- PCの処理能力を利用できるので、PC側のスペックさえ上げればパフォーマンスの高いゲームもプレイできます。
- デメリット
- VRを十分に処理するのに必要なPCスペックを準備するのには相応のお金がかかります(単純に考えて、3Dモデルの演算処理×2画面(両目分)が必要です)。
最低要件を満たさないPCではマトモに動かすことすらままならないので、ゲーミングPCの購入もしくはグラフィックボードの追加が必要になってきます。
PCVRを嗜む場合は、相応の出費を覚悟しなければいけません。
- VRを十分に処理するのに必要なPCスペックを準備するのには相応のお金がかかります(単純に考えて、3Dモデルの演算処理×2画面(両目分)が必要です)。
スタンドアロン
- メリット
- VRゴーグル単体ですぐ使えるので、面倒なPCのスペックアップが必要ありません。
また、PCとのケーブル接続等が必要ないので、激しい動きをする際にも快適なVR体験を享受できます。
- VRゴーグル単体ですぐ使えるので、面倒なPCのスペックアップが必要ありません。
- デメリット
- VRゴーグル単体での演算ですので処理能力は控えめです(PCとスマートフォンの違い、と考えていただけると理解しやすいかもしれません)。
また、専用ストアからソフトを購入する形態が多いため、プレイできるソフトもPCVRに比べ数が限られていることが多いです。
- VRゴーグル単体での演算ですので処理能力は控えめです(PCとスマートフォンの違い、と考えていただけると理解しやすいかもしれません)。
VRでできること
VRでできることは様々ありますが、今回は代表的な2つの用途を紹介します。
SNS
『ソードアート・オンライン』『サマーウォーズ』『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』など多くのエンタメやハードSF、また00年代に輝かしい成功を期待された『Second Life』など、人々は3Dのメタバース(仮想空間)内で自由に動き回る想像を膨らませ、そこから生まれた作品は枚挙に暇がありません。 そして、その想像は技術の発展によって現実味を増してきました。 ここでは、その代表的な2サービスを紹介します。
- VRChat
- VRChatはおそらく世界で最も有名なソーシャルVRプラットフォームです。
膨大なワールドの探索やアバターやワールドの自作、見知らぬユーザーとのコミュニケーション、VR空間内での動画の再生など、思いついたことは(技術力があれば)大抵実現することができます。
ある意味でカオスとも言える自由度の高さが魅力です。
- VRChatはおそらく世界で最も有名なソーシャルVRプラットフォームです。
- Cluster
- Clusterはマルチプラットフォーム対応の国産バーチャルSNSです。
VRChatより自由度が制限されている代わりに、より簡便な利用が可能になり、また強固なセキュリティが担保されています。
さらに、PCに加えてスマートフォンでのアクセスにも対応しているので、専門的なデバイスを揃えなくても多くの人が利用できるのも魅力です。
以上の特徴を活かして、武蔵野美術大学の有志展示『バーチャルムサビ展』や『ポケモンバーチャルフェスト』、また様々な企業のバーチャル展示会など、より公的な用途に利用されています。
- Clusterはマルチプラットフォーム対応の国産バーチャルSNSです。
ゲーム
- Beat Saber
- 2020年、Oculus Storeで最も課金されたアプリことビートセイバー。
前方から飛来する立方体を、手に持ったライトセイバーでリズムに合わせて切る。
それだけのシンプルな音ゲーですが、意外とハマります。
- 2020年、Oculus Storeで最も課金されたアプリことビートセイバー。
- SUPERHOT
- こちらは1人用のFPSゲームですが、「自分が行動した分だけ時間が進む」という特殊なルールがあります。
3Dになり、武器をピストルに持ち替えた『風来のシレン』みたいなものでしょうか。
意外と詰将棋的な側面もあり、よく考えられているなあと感じます。
- こちらは1人用のFPSゲームですが、「自分が行動した分だけ時間が進む」という特殊なルールがあります。
PCVRの導入記録
さて、ここからは私の個人的なOculus Quest(無印)、またPCVRの導入記録です。
Oculus Questの購入
2020年の7月13日にAmazonでOculus Quest(無印)(128GB)を購入しました。
コロナ禍で人との集合が制限されていた状況もあり、前から興味のあったVR技術、特にVRSNSがこの状況を緩和する糸口になるかもしれないと考えたからです。
はじめは主にスタンドアロンのVRHMDとして、VRChatや各種ゲームなどに利用していました。
しかし、スタンドアロンとしての利用ではアクセスできない(Oculusストアにない)ソフトも数多くあったため、VRをより楽しむためにはやはりPCと接続する必要があると思い、PCVRを試してみることにしました。
PCVRの画面が映らない。。
その当時のPCスペックは以下です。
- マザーボード: ASRock AB350M-HDV
- CPU: AMD Ryzen 7 1700
- GPU: Sapphire Radeon R7 240
- メモリ: GeIL DDR4-2666 8GB*2
しかし、このスペックでPCとOculus Questを接続しPCVRを試してみたところ、画面がブラックアウトしてそれ以上は動きませんでした。
Oculusに問い合わせたりネットで調べたりしたところ、どうやらGPUがボトルネックとなっているようでした(PCをゲーミング用途に使う想定がそもそもなかったので、必要最低限のものしか載せていなかった)。
グラフィックボードの換装、ゲーミングに耐えうるスペックへ
なので、グラフィックボードの換装、またそれに伴うマザーボード・CPU等の換装を行い、スペックは以下のようになりました。
- マザーボード: ASUS ROG STRIX B450-F GAMING
- CPU: AMD Ryzen 7 3700X
- GPU: Sapphire Radeon RX 5700 XT
- メモリ: GeIL DDR4-2666 8GB*2(変更なし)
その他、ケースも一回り大きいものに変更しています。
今確認したら、以上のスペックアップに軽く12万円程度かかっていました……。
しかし、そのおかげでOculus Questは無事PCVR用のHMDとしても利用できるようになったのでした。
実際の感想(スタンドアロンとPCVRの違い)
スタンドアロンよりもPCVRの方が、対応ソフトが多く、解像度も高く、処理も快適なことが多いです。
その代わりスタンドアロンは初期投資も少なく、またケーブルがない分快適に遊べます。
「気軽にVRを体験してみたい!」という場合は、まずはじめにスタンドアロンのVRHMDを利用してみて、満足できなくなったらPCVRの利用も検討してみる、という流れがいいのではないでしょうか。
ちなみに、ゴーグル内にスマホをセットして体験するタイプのVR機器は、正直あまりオススメしません。
初期投資はごく安いですが、はじめにスマホVRを体験して「VRってこんなもんか……」と思ってしまうのはかなりもったいないです。参考程度にとどめておくのが無難でしょう。
まとめ
新型コロナウイルスは未だ市中に蔓延し、ワクチン安定供給の目処は立っていません。
引き続き三密の回避が叫ばれるこの情勢の中で、人と人とが対面して集合することは依然として難しくなっています。
また、この情勢を契機としたリモートワークの普及や大都市からの人口流出傾向、またゲームなどのコンテンツを通じた新たなコミュニケーションの形は、コロナ禍が収束した後の社会にも大きな影響をもたらすでしょう。
そんな中で、現実の集合よりも簡便で、ビデオ通話よりも身体性を持った「VR空間での集合」という手法は、必ず我々にとって身近なものになっていくと思われます。
VRテクノロジーは今、キャズムを越えようとしています(あるいはもう越えているのかも)。
今がアーリーアダプターを気取れる最後のチャンスです。
Oculus Quest 2が誰にもお求めやすくなったこのタイミングで、新しい未来のかたちを覗き見てみませんか?
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